発達障害を持っている人は、しばしば経済的な問題を抱えることがあります。
なぜ、発達障害の人が経済面で困難を抱えてしまうのかというと、
その特性の影響で、継続して働くことが難しい場合が多いためです。
では、発達障害を持ちながらも、
ある程度の生活水準を維持するにはどうしたらいいでしょうか?
この記事では、障害を抱えた状態での生活の工夫の仕方、
そして、障害者のオープン就労とクローズ就労のメリット・デメリットについて解説します。
発達障害の人が抱える仕事の悩み
発達障害のある人は、仕事において困難を抱えやすいとされています。
なぜなら、その特性から職場での仕事やコミュニケーションなどに支障がでやすいのですが、
それが発達障害からくる症状だと分かりづらく、周りの理解が得られにくい傾向があるためです。
それぞれの具体例を見ていきましょう。
発達障害の特性により仕事への支障が出やすい
発達障害には様々な特性があり、それが仕事をする際に支障となりやすいです。
具体例は以下の通りです。
- 仕事の全体像を把握するのが苦手
- 臨機応変に動くことが難しい
- 注意力が散漫で、情報処理が遅い
- 抽象的な会話が苦手で、指示のニュアンスを取り間違える
- コミュニケーションが苦手で対人トラブルが起きやすい
- 社会的なルールを把握するのが困難
このような特性から、仕事をする上でどうしてもトラブルが発生しがちで
結果的に、長期的な雇用が難しいことが多いようです。
症状を理解されにくい
発達障害の症状は、見た目からでは分かりにくいです。
本人は生活の困難さを強く感じていたとしても、
周りからは
- 空気を読めない人
- 集中力がない人
- 少し変わっている人
という評価で終わりやすく、発達障害からくる症状を理解してもらえないことも。
実際に内閣府の調査でも「(発達障害だけれど)外見からはそう見られない」ことが苦しいと答えた人は
全体の9割を超えているんですね。
障害のある当事者からのメッセージ(知ってほしいこと)
「外見で分かるものだけが障害ではなく、外見では分からないために理解されずに苦しんでいる」91.4%
出典:内閣府HP
発達障害は周囲の人から症状が理解されにくく、
そのため、仕事を遂行するために周りからの適切なサポートや配慮が得られないことがあり、
職場で困難を抱え孤立しやすい傾向があります。
障害者雇用だと月給平均が12万程度とかなり低め
障害者手帳を所持している人は、
就労の選択肢として障害者雇用(オープン就労)を選ぶことが可能。
この就労制度では障害の症状や働き方への配慮がなされ、一般雇用よりも働きやすい環境で仕事ができます。
しかしその反面、給与額がかなり下がってしまうというデメリットも。
厚生労働省によると、発達障害者の平均月給は127,000円です。
平成30年5月の平均賃金をみると、身体障害者は21万5千円、知的障害者は11万7千円、精神障害者は12万5千円、発達障害者は12万7千円となっている。
出典:厚生労働省HP
障害者雇用の場合、一般雇用よりも給与が低く、
経済的自立と生活の安定が難しい場合が多いんです。
最低限の生活水準を満たすためには?
発達障害を抱える人は、仕事を続けることが難しく、経済的余裕がない傾向があります。
しかし、中には実家から離れて自立したいと考える人も多いのではないでしょうか。
また、実家暮らしであっても、最低限の生活水準を自力で確保できるようになることが大切。
では、そのために何ができるでしょうか。
障害福祉サービスを利用する
あまり知られていないかもしれませんが、利用できる障害福祉サービスは意外とたくさんあるんです。
使える制度は活用して、公的援助を受け、金銭の負担を減らしましょう。
具体例として、以下のような選択肢がありますよ。
- 障害者手帳を取得し、公共サービスの割引を受ける
- 通院には自立支援制度を利用する
- 障害年金の申請をする
- 市や区に、公的な支払い(国民健康保険や水道代など)の免除申請をする
- 福祉サービスを受ける(家賃補助、携帯料金やタクシー代の助成が受けられることも)
- 生活保護も一つの選択肢として検討する
申請方法や利用条件はそれぞれ異なりますので、近くのクリニックや市の福祉課などで相談してみて下さいね。
お金の管理をする
生活の負担を減らすためには、お金の管理を見直すこともとても大切です。
自分の収入と支出を把握し、使いすぎを防いでいきましょう。
具体例をいくつか挙げてみます。
- 毎月の収支のバランスを確認し、生活費を見積もる
- 毎月、最低限必要なお金を把握する
- クレジットカードの利用をやめ、決められた額の現金で支払いをする
- スーパーで余計なものを買う癖をやめる、服を買うときはフリマを利用するなど、節約の工夫をする
だいたいでいいので自分の収支を把握することで、必要なお金がどのくらいなのか把握し、
使いすぎている場合は、何に支払っているのかを見直してみましょう。
シェアハウスに住んでみる
一人暮らしが経済的に難しい場合は、シェアハウスを利用することで、家賃を抑えながら生活ができます。
それぞれのシェアハウスごとに特徴があるので、自分に合いそうな環境を選びましょう。
発達障害の特性で困っているならば、
それを理解しあえる環境があるシェアハウスを選んでみることがオススメ。
お互いに助け合いができ、コミュニケーション能力も高めることができるでしょう。
ちなみに、私たちが運営しているシェアハウスがこちらです。
見学や体験宿泊も行っているので、ご連絡お待ちしております!
詳しくはこちら▶︎ ヴァンシェアハウス
就労の選択肢について
ここまで、発達障害の人が抱える仕事の悩みと最低限の生活水準についてお伝えしてきました。
最後に、発達障害のある人の就労の選択肢について見ていきましょう。
(ここでは障害者手帳を持っている人に限定します)
発達障害のある人が就労を目指す際、主にオープン就労とクローズ就労の2つの選択肢があります。
それぞれにメリットとデメリットがありますので、見ていきましょう。
オープン就労
オープン就労とは、障害のある人が、会社から症状への配慮を受けながら働く雇用形態です。
クローズ就労よりも安定した環境が提供され、安心して業務に取り組めることが特徴。
では、メリットとデメリットをいくつか挙げていきます。
メリット
- 障害に対して理解と配慮が得られる
- 通院時間を確保できる
- 定型的な業務が中心で予測可能な環境で働ける
- 時短勤務が可能
- 出張や転勤の心配がない
- 残業がない
デメリット
- 賃金が少ない
- ボーナスや昇進が見込めない(契約社員が多い)
- 求人が少ない
- キャリアの形成が難しい
オープン就労では、障害への理解と配慮が得られますが、
給与や昇進の見込みが限られ、キャリア形成が難しいことがあるのが特徴です。
クローズ就労
クローズ就労とは、一般雇用のことで、障害をオープンにせずに企業で他の社員と一緒に働くことを言います。
自分である程度、特性からくる支障をコントロールする余裕があり、
定期通院がなく、特別な配慮が必要ない人に合う雇用形態です。
こちらのメリットとデメリットも見ていきましょう。
メリット
- オープン就労に比べて、求人数が多く、給与が高い
- 今後のキャリア形成を考慮しやすい
- 責任が大きくやりがいのある仕事ができる
デメリット
- 障害の特性への配慮をしてもらえない
- 体調などについて、周囲の理解が得られない可能性がある
- 出張、残業、転勤などが業務に含まれることがある
- 予測不可能な状況に対処する能力が求められることも
クローズ就労は、高い給与や多くの求人があり、キャリア形成も考えやすいですが、
障害の特性への理解が得られない場合があり、予測不可能な状況への対応が必要とされているのが特徴です。
いかがだったでしょうか。
ここまで、オープン就労とクローズ就労のメリットとデメリットを挙げてきました。
どちらの働き方が合うかどうかは、個人によって違うので、
どのように働くかは、現在の体調に従って決めていって下さいね!
まとめ
ここまで、発達障害からくる仕事への影響や、その特性を抱えた状態での生活の工夫の仕方、
そして、障害者の就労について解説してきました。
この記事で一番お伝えしたかったのは、
発達障害の人が、経済的な安定を目指すためには、
無理せずに長く継続していけるライフスタイルを選ぶことが大切
ということ。
働き方にも色々な選択肢がありますので、
今の体調を考慮しながら、続けやすい仕事を選んでみて下さいね。
みなさんが、少しでも経済的負担が減らすことができ、安心して働ける環境を選べるようになる、
何かそのためのヒントがあれば幸いです。
記事は以上となります。
最後まで読んで下さりありがとうございました!